ひっそりと自・国・共激突の滋賀県議補選大津市選挙区

6月26日投開票の滋賀県知事選挙は自民・公明・国民民主・社民の支持を受ける現職vs共産系の新人の争いとなっている。

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個人的に昨秋の衆院選でついに衆参6人完全制覇(野党候補の比例復活も阻止)を果たした自民県連が県内完全制覇を果たすべく非自民系の現職知事に対抗馬をぶつけてくるのを期待していたのだが、下手な候補を出して「2期目の現職」に負けるよりリスクの少ない相乗りを選択したようだ。

 

ところで、結果が見え見えでつまらない知事選はともかく、同日に投開票される県議補選が熱い戦いとなっていることをご存じだろうか?

この大津市で行われている滋賀県議会議員補欠選挙は欠員1に対して自民公認、無所属、共産公認の3人が立候補している。この枠は無所属で元びわ湖放送アナウンサーの蔦田恵子氏が2016年の大津市長選に立候補したことで生じたものである。以下に候補者を紹介していきたい。

 

国民民主県連船出の戦いは無所属で?

無所属の河合昭成氏は大津市議からの鞍替えで元東レ社員。知っての通り大津市石山駅前には東レの大きな工場があり、県議会のみならず大津市議会にも複数の組織内候補を送り込んでいる。元衆議院副議長で昨秋に引退した川端達夫氏も東レの組織内候補だった。河井氏は昨年の解散総選挙の際にUAゼンセン(東レ労組の上部団体)の会長から直々に川端後継としての滋賀1区からの立候補を求められ、固辞したという経緯がある。その結果滋賀1区では代わりに嘉田由紀子前知事が出馬して敗れ、川端氏の議席の継承に失敗した。おそらく次回の衆院選では河井氏が野党系の候補として滋賀1区から出馬することになるだろうが、今回の補選はその前哨戦となる訳だ。川端氏、嘉田氏に加えて国民民主県連、県議会会派のチームしが、UAゼンセンが総力を挙げてバックアップする中、立憲民主支持層にもアピールすべく無所属で挑むことになった。今回が県内初陣となる国民民主としてはどうなのかという気もするが、党勢低迷を跳ねのけることは出来るのだろうか?

 

擁立で揉めた自民、大岡衆院議員の指揮で勝利目指す

自民党公認桑野仁氏の擁立はギリギリまで議論があった。というのも前回県議選大津市選挙区での自民党の当選者は4人で、しかも1人は最下位当選。辞職した元アナウンサーの蔦田氏は保守系無所属だったとはいえ、もう一人出せば来年の県議選で調整に苦しむことになる。慎重論もあったものの大津市を地盤とする大岡敏孝衆院議員は不戦敗を許さなかった。大岡氏は甲賀市出身で元静岡県議と大津市には縁が無かったが、典型的なドブ板戦術で川端王国だった滋賀1区を塗り替え、前回総選挙では圧倒的知名度を誇る嘉田前知事を落選に追い込んだ。同選挙では市内の比例票で5万2千票を稼いだだけあって今回も勝って当然とも言えるが、”本番”である来年の県議選のことが頭をよぎる県議や市議らは手足となって動いてくれるだろうか?

 

3年前の悔しさ晴らすべく…共産

共産党黄野瀬明子氏を擁立した。氏は前回県議選で次点で落選しており、その得票は7480票。最下位当選の自民公認の候補が7709票だっただけに300票弱で涙を呑む結果となった。ちなみに同選挙の大津市選挙区では節木三千代氏が10744票で3位当選を果たしており、票割りの失敗が悔やまれる。今回の補選では県知事選との連動や立憲民主支持層への呼びかけなど総力を尽くして「もう1議席」を狙うことになる。

 

まとめ

いかんせん地味な補欠選挙ということで各種メディアもあまり注目していないが、この選挙のカギは自民党の組織が全力で選挙に挑めるかということに尽きるのではないか。桑野氏の地元は市北部で現職の佐野高典県議と地盤が被っている。先に述べたが来年の県議選でも自民の4議席は決して安泰とは言い難い。もし桑野氏が県議会議員はこの1期だけで来年の本選には出馬しないとしているのなら別だが、そうでなければ当選してしまった後のことが気になる支援者も多く居るだろう。2006年の国松×嘉田の県知事選は新幹線新駅問題を巡る自民県連の分裂とサボタージュが結果を決めた。あの失敗がまた起きるとすれば…野党系候補にもチャンスはあるだろう。

紀伊山脈奥地、水上の楼閣―旧摺子発電所(七色ダム)

2月某日、今回の巡行はいきなり湖上から始まる。

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奈良県上北山村七色ダムの水上、小雨が降り注ぐ小型ボートの上で撮った写真が旅の記録の最初となっている。ここから向かうのは到達難易度が高い大物廃墟である。

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慣れないボートの操縦に四苦八苦すること十数分、見えてきた白い建物は旧摺子発電所。昭和4~6年の建築で、1965年にダム湖に水没すると同時にその使命を終えた発電所である。

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先ほどの地点からさらに数十分。何度もエンジンが停止するトラブルに悩まされながらようやくたどり着いた。深緑の湖面が白い建物によく映える。

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側面からの光景。水没部があるので何階あるのかは分からない。湖面に2層の建築が浮いているかのようだ。

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屋内に潜入。天井の白さ、湖面の緑、柱の黒、3色の世界がそこにある。

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この間もボートの漕艇は困難を極め、勢いづいて壁に激突しそうになっては反転を繰り返しながらなんとかフレームに収めた写真がこれらである。

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ようやく接岸してボートを降り、内部に侵入することに。

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逆からのフレーム。この階段を上ると…

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またがらんどうの白い空間が広がっていた。遺留物は全く見当たらない(廃墟化から50年経っているので当然である)

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発電所廃墟名物フジツボっぽい形状の陶器の部品(名称失念)

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時間もさほどないので切り上げて二階へ向かう。

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あそこに二階への階段があるが水没していてそのまま向かうのは不可能だ。(当方気さくなスニーカーのおっさん)やむなくボートで外に大回りして外壁からの侵入を狙う。

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下に見えるのが接岸したボート。ここは本当に何度も折り返しを繰り返して苦労しながら接岸したので写真を撮っている余裕は全く無かったので画像は割愛する。

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二階の小部屋は侵入者によって燃やされた形跡が生々しい。落書きも残されておりここだけ異質な雰囲気を放っていた。

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二階から見る半水没部の屋内は想像以上に美しかった。

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反対側からの景色。天気が良ければ光射す濃緑の水面がなお美しかったと思われるだけに天候が恨めしい。

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なかなか冒険心を探られる良質な物件だった。名残り惜しいが疲労がピークに達する前に撤退しないと帰りのボート操縦が持たない。

建築時はこの揚水発電所が管流しを妨げると地元で軋轢を生んだという。そうした経緯を持つこの発電所がかつてここに人が住んでいた証としてその姿を残しているのは皮肉なものである。この廃墟はおそらくわざわざ取り壊されることは無いだろう。紀伊山脈の奥地のさらにダムの奥という秘境中の秘境にかつて人の営みがあったことを伝える墓標として摺子発電所はあり続けていくのだろう。

 

よそ者が書いて馬鹿が読む「滋賀県は近江鉄道の影響で西武ファンが多い」説

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表題の言説の発端は、Jタウンというサイトが2014年と2017年7月に実施したアンケートとその推察として同サイトが出したコラムにある。この信憑性が微妙なものが出回り、Twitterなど一部で「滋賀県近江鉄道の影響で西武ファンが多い」という嘘豆知識が出回りつつある。

j-town.net

j-town.net

この言説は「①滋賀県は西武ファンが一番多く」、「②それは西武鉄道子会社である近江鉄道の影響である」という2段階の論理で成り立っている。

私個人の経験では親類縁者友人近所のおっさんに至るまで記憶を辿っても西武ファンが居た記憶が無く、①の段階で破綻しているのではないかとかなり疑っている。

 

そもそも地方私鉄の親会社が野球ファンに影響を与え得るのか

色々考えていくとここがまず怪しい。自家用車による生活が普及した地方で地方私鉄のさらにその親会社が日常的に意識されるだろうか?阪神電鉄西武鉄道のようなインターアーバンであれば沿線で暮らす住民は通勤通学買い物など、生活のあらゆる場面で鉄道の存在を意識せざるを得ない。いつも使う駅から球場へ行く電車が発着していたり、球団のロゴや選手がラッピングされた電車で都心へ出向くことがあればそれをきっかけに球団の勝敗や選手に関心を持つこともあるかもしれない。しかし、近江鉄道に乗っても西武ドームに行くことは出来ないし、何なら京セラドームに行こうとする奴もやってくる。

※参考*1

近江鉄道の影響」について

周知のように近江鉄道西武グループの100%子会社である。同社の事業はバス、レジャー事業など多岐に渡り、滋賀県民にとって馴染みが深い会社の一つと言える。

さて、その近江鉄道の路線だが、米原(県内唯一の新幹線駅)~彦根(県下第3の都市)~八日市~貴生川を結ぶ本線八日市近江八幡を結ぶ八日市線多賀大社への参詣路線である多賀線の3路線を有し、湖東地域を縦断している。ここで注目したいのが県庁所在地である大津市それに次ぐ第2の都市の草津市など、人口が集中する湖南地域には路線が全く存在しないということである。

さらに近江鉄道線はJR線と並走する区間が多い。大津・草津方面から鉄道を使用して移動すると、近江鉄道に乗らないと行けない地域は旧八日市市東近江市の中心部)など一部に限られる。その当の大津市民や草津市民がわざわざ八日市に向かう流動もあまりない。また、近江鉄道線全体の経営は芳しくなく、社として将来的な廃止の可能性にまで言及している。

残念な話ではあるが、近江鉄道に乗る機会の無い県民の方が多いと言わざるを得ない。

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滋賀県民のプロ野球ファン層

滋賀県民のプロ野球ファン層であるがこれは確実なことは言えない。ただ、県下は関西広域放送圏に属しており、テレビでは在阪局の阪神タイガースの応援報道や試合中継などの洗脳が日夜行われている。これを聞くと阪神ファンが多いのかと思いがちだが、そう単純ではない。

新聞においては、滋賀県には地元紙が存在しないことから、大手紙+京都新聞中日新聞がシェアを争っている。大手紙と京都新聞阪神タイガースに寄った報道をする中、中日新聞中日ドラゴンズを重点的に報道する姿勢を崩していない。湖北の名古屋志向の県民や中日新聞を購読している人々の中にはかなりの数のドラゴンズファンが居ることが推察できる。

県下の小売店では琵琶湖ネックレスチェーン構想を掲げ、覇を唱えた平和堂が有名だが、あの店は中日が優勝すれば中日応援セール、阪神が優勝した年は阪神応援セールを行うという節操の無いことをやっていた記憶がある。大津には西武大津ショッピングセンターがあるがここは西武のセールをやっていたし、近鉄百貨店草津店の応援セールは巨人だった*2。自分から挙げておいてなんだが、まったく当てにならない指標であることが分かる。

怪説がまかり通った理由について

Jタウンの人気投票の滋賀県1位が西武になった理由は、これも正確には分からない。2014年の調査では一目見て首を傾げる結果が他県でも見られるので単純に投票総数が少なかったことで偏った結果が出たのかもしれない。Jタウンというサイトを見ている年齢層が40~50代に偏っていれば西武黄金期を少年期に見た世代だけに結果が偏る可能性もあるだろう。また、票が割れたという可能性もある。この調査結果は2位以下の内訳を明らかにしていない。極端な話、阪神、中日、巨人、西武で4分に票が割れて26パーセントで西武1位の結果が出ている可能性もある*3

ともかくもこの説は多くの人に信じられた訳である。おそらく遠方では「東海か関西か分からない」「岐阜とどっちが東?」などと言われている滋賀県の存在感の薄さと、「西武の子会社なら影響力ありそう」という近江鉄道への雑なイメージが合わさって真実味を持った悲しい結果だろう。

滋賀県民各位

他人に「滋賀県近江鉄道があるから西武ファンが多いらしいね」と言われたら「西武ファンそんなにおらんし、近江鉄道そんなに影響力無いで」と否定しておきましょう。さもないと「滋賀県民は京都人・大阪人に怒ると『水止めるで』と言うらしい」というさっぶい作り話と同じ末路を辿ることになります。

*1:

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*2:大阪近鉄バファローズの消滅以降、近鉄百貨店は読売ジャイアンツと提携しているらしい

*3:小選挙区の問題点ですね

伊吹山麗の正の遺産、負の遺産 ― 住友大阪セメント 旧伊吹工場

関ヶ原米原の中間の山合に旧伊吹町という町があった。

奥伊吹、伊吹山と良雪に恵まれたスキー場の名前は関西では知られているが、そんなスキーで栄えた人口5000の町が合併で米原市となったのは2005年。そのかつての町役場の付近に工場があった。

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住友大阪セメント伊吹工場が閉鎖されたのは合併の2年前の2003年。東海道線から敷かれた専用線を模したホームが近くに設置されていた。

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20センチ弱ある積雪をかき分けて近くに行ってみたが、それらしき形が見えていた。

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ホームにあった説明板はあまり関係ない内容で落胆した。よく見ると往時の写真が小さく掲載されている。

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線路の延長線上を北に向かうと、工場の正門が見えてくる。鉄道線を引き込んでいた様子が伺えないので貨物輸送は閉鎖の随分前に無くなっていたのだろうか。

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近寄るとセコムの赤いシールが目を光らせていた。侵入は難しそうだ。

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巨大な煙突が遠くからこちらを見ている。

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周囲の道を進む。

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左折して工場の真ん中を突っ切れる道を発見。

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 雪の中こんな道を歩く物好きが他にも居るなと思いながら進んでいくと…

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巨大建造物が見えてきた。福島第一原発のようで荘厳だ。

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(撮影地:チェルノブイリ)とキャプションを付けたら騙される人が居そうだ。

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先ほどの煙突が右に映っている。

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中に入りたいな…f:id:zhongdanhai:20180208165536j:plain

この煙突は本当に大きい。閉鎖から15年が経とうとしているが、まだ倒壊の心配は無さそうだ

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通用門に辿り着いた。

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まあこの積雪では侵入したら足跡で丸わかりだから警備が無くても無理ということぐらいは分かる。ちなみに工場内は一切除雪されていないので40~50センチはあろうかという積雪だった。

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メタセコイアっぽい並木がシベリアのような雰囲気を醸し出している。

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住友大阪セメントと言えば以前行った多賀鉱山も同社の所有だったが、伊吹山系でのセメント採掘事業は既に終了しており、この地域全体から撤退している。

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この土地も他社に渡っているが、土壌汚染が深刻で跡地利用もままならない状況で結果的に放置という形になっているらしい。

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 公開すればマニアやコスプレイヤーの撮影などの需要もあろうに…と思いながら立ち去る夕暮れだった。

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zhongdanhai.hatenablog.com

少女終末旅行に終末は来ない(アニメ感想)

少女終末旅行というアニメーションが終わった。昨今のアニメはメディアミックス展開が当たり前となり、原作が完結していない作品を映像化する例が多い。少女終末旅行は「完結していない作品の終わり方」としてベストに近いものを見せてくれた。なお、私は原作未読組なので以下に登場する「この作品」という語は断りが無い限り今期に放送された12話までのアニメを指す。

「終わるまでは終わらないよ」の世界観

「終わるまでは終わらないよ」、ed冒頭で毎回流されるこの印象的なセリフがこの作品の世界観を支えている。滅んだ文明、殆どが死んでいるインフラ、散乱する兵器と戦いの傷跡、終末そのものである作品世界は1話から最終話に至るまで何の説明もなされない。主人公のチトとユーリが移動を続ける目的さえも明らかにはされない。こうした舞台設定に興味を抱き、真相を知りたがっていた視聴者は拍子抜けし、物足りないものを感じているに違いない。

しかし、説明がされないのは制作側の都合でも怠慢でもない。チトやユーリにとってこの「終わった世界」のすべてが自明のものであるからだ。世代間の情報格差デジタルネイティブ世代が取り沙汰される昨今であるが、あえてそれに近い情報の距離が視聴者と登場人物の間に設けられている。そしてその距離がバランサーとなって終末の世界に日常を生み出すことを可能にしている*1。自明である終末の世界の上に立つ日常であるからこそ、その日々に終わりはなく、終わらない。「終わるまでは終わらないよ」はこうして機能している。

 

終わらせない意味、終わらない理由

「ラストシーンの続き」は古今東西で物語を描く・観るにあたって必ず考えられてきた。歴史上で英雄的な活躍を遂げ、天寿を全うした人物の最期が醜く、みっともなかった例は多々ある。逆に全盛期に悲劇的な死を遂げた人物には世間の人気が集まり、物語になる。創作上でもヒーローは勝利の後どこかに去っていくか悲劇的な死を迎えるのが定石と言ってよいだろう。

少女終末旅行は人類が滅亡という敗北を迎え、人々がささやかな日常を失った*2というバッドエンドのルートではあるが「ラストシーンの続き」を描いている。現実の世界、人生を考えてみれば分かるが、致命的な出来事が発生しても世界、人生はそう簡単には終わってくれない。致命的なカタストロフィを迎えても苦しくとも辛くとも死ぬまで日常は続いていく。

決定的なカタストロフィの後の世界を描く作品に「セカンドインパクト」の新世紀エヴァンゲリオンがあるが、新世紀エヴァンゲリオンサードインパクトという本当の終わりを迎え、作品を終結させている。しかし同様に文明の崩壊後の世界を舞台に物語が進行していく少女終末旅行にはそうした本当の終わりは設定されていない。「いや、まだ原作未完だからアニメで描かれていないだけだろ」というツッコミもあるかもしれないが私はラストシーンのセリフから今後も描かれることは無いと考えている。

ユーリ「そうだ!チーちゃん、一番上に行ったらさ、そしたらその次は月に行こうよ!」

チト「月?」

ユーリ「行こうって言ったのチーちゃんじゃん」

チト「そうだっけ?でも月か。それもいいか。」

 どちらかが本当に死ぬまで終わらない(終わるまで終わらない)のが少女終末旅行の新規性であり魅力なのだ。

印象的なシーン

「ねえユー、人はなぜ生きるんだろうね」と尋ねたチトに対し、

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一呼吸置いてユーリはチトを殴る

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進路がズレて崖に突っ込もうとするケッテンクラート

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チトは慌てて進路を戻す

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崖に落ちそうなのにユーリがまったくのノーリアクション(しかも自分のせいで落ちそうなのに)なのがチトの運転を無条件に信頼しているユーリという関係性で好き♡

ここでユーリの肝の太さを見せることで5話の壁に激突しそうなシーン(居眠り運転、この事故未遂を受けてやむなく休憩する)の緊急性が際立つのも良い。

*1:現実的に考えれば少女2人がインフラの死んだ世界で生きていくのはあり得ないし、そのようなフィクションは視聴者の感覚が許さないだろう

*2:12話Aパートでささやかな日常がカメラに記録されていたという形で丁寧に描かれている

明るい現役廃墟商店街ーJR四日市駅前 三和商店街

石油コンビナートや四大公害病四日市ぜんそくでその名を知られる三重県四日市市県都津市を凌ぐ三重県下最大の都市であり、国際港湾でもあるその街の一角に戦後がある。

 

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JR線の中心駅であるJR四日市駅の外観。JRの中心駅と言うと賑わいがありそうなものだが、三重県近鉄王国。数百メートル離れた近鉄四日市駅周辺が繁華街となっているため、JR四日市駅は巨大な駅舎と比べて周囲の活気はまったく無い。

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内部も閑散としている。(券売機左横のJRの旅行代理店が潰れている)

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そんな状況だから当然キヨスクは無いが、ホットスナック自販機がある(昔のサービスエリアか?)。完全に過去の遺物のように思えるが新商品を投入している、根強いファンが居るのか?

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駅前は人口30万の都市にしては広すぎる一直線の大通りが伸びており、活気の無さも相まって昭和というより共産圏の首都のような趣。たぶん岐阜駅前の黄金の信長像を持ってくればもっとそれっぽくなる。

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そんな残念な状況の駅から徒歩2分という好立地にあるのが三和商店街である。

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駅チカ徒歩2分でこのインパクト。この倒壊が進む廃墟ながら営業する店が残る現役商店街廃墟という奇妙な物件が今回のメインである。(右手の喫茶店兼バーは現役)

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虚しく残る「明るい商店街」の文字。逆に入りづらい。

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2メートルも無い狭い路地を分け入ると異世界が広がっていた。正面の居酒屋「晴」と右手の提灯が掛かった居酒屋は現役だった。

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「力」

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インターネットの断片的な情報によると、この商店街は戦後のバラックの名残りらしい。

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近鉄とJRの四日市駅が離れた場所にあると先に述べたが、かつては隣接していた。1958年に近鉄が線形改良のために駅を現在の場所に移すまでは、この商店街の脇に線路があったらしい。線路脇の飲み屋街のバラックの生き残りということだろうか。

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山奥の鍾乳洞でももうちょっと明るいぞ!と言いたくなる。

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と、ここで営業中の店からオバチャンが出て来て「わっ!びっくりした!!」と驚かれた。

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こちらもまともな客では無いのでとっさに「すいません」と謝ったが、(従業員が店の前に人が居てびっくりするなよ…)と思い直す。

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こちら側は明るい(屋根が崩壊しているので)。

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「忍」

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店舗が営業中かどうかは店の入り口に貼ってある食品衛生協会の認証シールで判断している。毎年更新されているので営業中であれば平成29年のシールが貼られている。廃業した店は平成10年代前半か昭和60年代で更新が止まっている。昭和60年頃が最盛期だったのだろうか?

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「優」(一文字が流行ってたのか?)

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もう原型が無い。狭い路地なので撤去も難しいのだろう。

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「居酒屋」「お客様の健康を守る******設置の店」「危険」「頭上注意」「いらっしゃいませ」

展開される高度な情報戦。お客様の健康より安全を守ってほしいものだ。

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補強がなされているのか単なる棚なのか果たして…まあ店先に棚を設ける訳が無いが、だとすると誰がカゴやら木片を置いているのか謎である。(写真右のスナックアマンは現役)

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これが一番衝撃だった。150センチも無い高さに鉄骨の足場が組まれて「頭上注意」の注意書きがくぐれと命じている。暖簾をくぐる店を数多あれど「頭上注意」をくぐる商店街は間違いなくここだけだろう。

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ここをくぐって帰る酔っ払いの安全が心配だ。

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外から見た様子はこのようになっている。外側から建物内部に入れる構造になっていないようだ。

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写真を撮りながらぐるっと回って約30分弱。かなりコンパクトながら濃厚でお得感がある物件だった。戦後の名残りとも言える狭小商店街が70年近く生き残ってきたのは奇跡に近い。しかし防災が叫ばれる今のご時勢でこの脆弱すぎる一角がどれだけ寿命を長らえられるかは定かではない。内部の店がまだ営業中の間に訪れておくことをおすすめする。(営業中であることが確認できた店は路地内部に4軒、外周に3軒、業種は居酒屋、バー、スナック、洋食屋だった)

 

商店街の今後に思いを馳せながら駅のホットスナック自販機で唐揚げを買い、帰路に着いた。

衆院選なので街頭演説と選挙ポスターを撮ってきた

表題の通り。

ポスター

滋賀1区
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滋賀3区
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滋賀4区
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京都1区
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京都2区
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京都4区
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大阪10区
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街頭演説

JR大津駅前の嘉田由紀子第一声。川端達夫武村正義が応援演説をしていた。

武村翁は歳もあって声こそ弱々しかったものの背筋はシャキッとしていた。
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同じ場所で、対抗馬の大岡俊孝。大岡は今次の選挙で企業回りに重点を置いており、選挙カーを走らせたのは公示日、中日、最終日の3日間だけらしく運が良かった。
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JR南草津駅前。小川泰江。
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JR草津駅前、幸福実現党。ビラ配りの人数が意外と多く、候補を擁立してない区なのに気合いが入っていた。幸福の科学は候補が出ている2区が県内で一番信者が多いと聞くが、3区でもそれなりの数は居るのだろう。
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同じく草津駅前、共産党の石堂あつしと応援弁士の宮本岳志
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阪急桂駅、田中英之の応援で安倍晋三とニノ湯智と西田昌司
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偏向報道やめろ隊も駆け付けていた。
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偏向報道やめろ隊は目立とうとしているのか場所が取れないのかずっと周囲をウロウロしていた。私の前で演説を聞いていたガタイの良い兄ちゃん2人が「そろそろ俺らも行くか」と言って、おもむろにTBS糾弾プラカードを取り出してウロウロしている偏向報道やめろ隊に加わっていったのが印象的だった。
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恒例の安倍ちゃんハイタッチ。

JR茨木駅前、足立康史松井一郎。この日はこの為にわざわざ大阪9区を訪れたのにポスターを撮影するのを失念していた。
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足立康史は一見気の良いおっさんで、握手をしている姿からはツイッター魔神の片鱗は感じられない。ただ演説になると荒ぶりだして"そういう人"になっていた。松井一郎は普通にカタギに見えなかった。

大阪9区服部良一陣営。本人は居なかった。
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 むすび

嘉田、大岡と県内の注目候補を見ることが出来て概ね満足しているが、今回が最後の対決かもしれない伊吹vs穀田の京都1区両陣営を逃したのは痛かった。あと辻元清美の応援に来て話題になった小林よしのり枝野幸男も見ておくべきだった。